神様、お願いです 僕の最初で最後の頼みを聞いてください

冬の12日の朝六時

時計の針が12を指した瞬間、予めセットしていたベルが鳴る。

虚ろな意識の中、「よし、計画通りだ」と呟く。

しばらくボーとした後に、ハッキリした意識の中で一つだけ計画に背いた物があったと気づいた。

たった一つだけ計画通りにならないものがあった。

彼女に気持ちを伝えようと思っていた強い心が………。

「どうしよう……」

のそりとベッドから起きあがった後、何度言ったか分からない言葉を吐き出した。
どんなに自分に「大丈夫だ」と言い聞かせても、一度出てしまった不安は、簡単に取りのくことはできない。
昨日は、朝早くに起きてケーキを渡すときの言葉ばかりに気を取られ、肝心の渡すときの自分の気持ちのことを考えていなかったのだ。

どうしよう、どうしよう、どうしよう、……。

頑張れ自分、負けるな自分、人生に一回くらい頑張れ。
どうしようという不安を掻き消すように、そう言い聞かせながら、ふとカレンダーの方を向く。
すると自分の今の感情を予想していたかのように、15日の所に「頑張れ!」という文字。
それを見て、深呼吸をした後、深いため息を漏らす。

すると、ぴょんっと揺れるポニーテール。

「あれ?ルーンさん、今起きたの?」
「え…、アンさん…。今……、え…?」
「今日は六時起きるって言ってなかったけ?もう七時よ?」
「ええぇ!?」

そんなまさか!?
パッと時計に目を向けると、アンの言ったとおり、針は7を指していた。

何で!?

「な…何で…。昨日ちゃんと目覚ましをセットしてあったのに…」
「もしかして、ルーンさん。セット時間、間違えた?」
「え…?」

確かにそうだったかもしれない。
昨日は今日のことで頭がいっぱいで、あまり他のことを考えられてなかったからだ。
いや、もうそんなことはどうでもいい。
セットを間違えたのがどんな理由だろうと、今はもう七時、他の人よりもいち早く彼女にケーキを渡すのならば、あと一時間で気持ちの整理を
つけなければならないことも、理解できた。
だけど、告白などしたことのない自分に、一時間で整理などつくのだろうか…。

「ルーンさん!」

「あ…あれ…、ティナさん、どうしてここに…?」
「ルーンさんに、これを渡そうと思って…」

勇気を出せ、ルーン。

「ティナさん、あのっ……」

神様、お願いです 僕の最で最頼みを聞いてください

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ルンティナ万歳!(笑)
ルーンが書きやすくて書きやすくてしょうがないです。
ルーンのあわてふためく感じを書くのが大好きです(笑)
でも、ちょっとおどおどしすぎになってしまったかも…;
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!