大好き

「アカリ」
そう呼ぶ声がとても優しくて、何だか照れくさい。
だから前とは全く違うねとからかうように言うと照れたように彼は笑った。
くしゃりとした笑顔が何だかとっても可愛く見えて、私はまたつられて笑顔になる。
そんな幸せな日々。
大好きな人と共に過ごせる日々が、とっても輝いている。

好き

牧場の仕事も順調になり始めた頃に、少しだけ気になる人が出来た。
いつも口は素直じゃなくても、私を気にしてくれて、そして気づけば傍に居る人。
名前は初めて出会ったときに丁寧に紹介してくれた。
ギル。
口にしやすくて、何度でも呼んでしまいそうな名前。
いつもは素っ気ない態度で忙しそうな態度を取るのに、私が仕事で怪我をしてウォン先生の
所へ行く途中に合うと、「気をつけろ」と言いながらも仕事をそっちのけで付いてきてくれたりする。
そんなことをされたら、どんどんと惹かれていくだけなのに…
と心の中でポソリと呟いたことは彼には内緒だ。
病院で行くまでの時間がとても明るくなって、傷の痛みなんかへっちゃらになった。
まるで雨上がりの虹のよう。
彼は私にいくつもの魔法をかけてくれる。
生活を楽しくしてくれる魔法。
いつも笑顔にしてくれる魔法

そして最後には「大好き」と……。

一生ギルから離れられない素敵な愛の魔法。

そしてそっと優しく私の名前を呼んでくれた彼に、「私も大好きだよ」と囁いた。