オンリーユー (for.Seavass&woman angel)
「ヤキモチか…?」
「違います……」
「とてもそんな顔には見えんがな」
「元からこういう顔をしているんです…」
「……、元天使様はいつの間にそんなへりくつを覚えたんだ…?」
「…………」
「…………」
「忘れたんですか…?」
「?何をだ…?」
「天界に帰るというのを、止めてくれたときに言った言葉です」
そう言うと、彼は微笑んだ。
「ずっと君のための勇者だ…か?」
「………」
「忘れてなんかいないさ」
少しだけ髪の毛に触れる手が心地よくて、さっきまでの彼に対しての怒りがスッとなくなるようだった。
「今でも私の気持ちに、変わりはない。君はどうだ…?」
「…私もシーヴァスが好きですよ」
「こっちに来てくれないか」
素直に彼に従うと優しく抱きしめられ、上の方から満足そうに笑う、彼の声が聞こえてきた。
「毎回こんな言葉を言って貰えるのだったら、君にヤキモチを妬かせるのもいいかもしれないな」
その言葉に呆れながらも、彼に「君はどうだ…」と聞かれたら、やっぱり毎回のように言ってしまうのだろう。
彼には敵わない……。
以前サイトの拍手に置いていたSSです。