悪戯な瞳が 好き


「カイってそういえば…」
「…ん?」
「夏しか居ないんじゃなかったけ?」

そう言うと、悪戯っ子の微笑みを私へ向けてきた。

戯な瞳が 

カイは夏しか居ないことを、私は今更になってようやく気がついた。
何だか自然と会話をして、毎日のように私の牧場に赴いて来るカイに何の不自然がない。
どうしてこの人は、こうも人の心の中をかき乱すのかなと思ってしまう。
今の私も、その一人で…。
カイが冬間近の季節に居るなんてことに気づいてからは動揺が隠せない。
だけど、当の本人はくっと笑いを堪えている様子で、まるで自然だ。

「帰らなくて良いの?
「帰って欲しい…?」

そう尋ね返されて、ビックリした。
それと同時に胸が跳ね上がるようにドキリと音を鳴らした。
何だか、自分の胸の奥の中が読まれているような瞳を向けられる。
それは深く微笑んでいるんだけれど、鋭い視線を感じた。

「何でそんなこと聞くの?」
「俺はクレアが帰って欲しくなさそうだから帰ってないだけだぜ?」
「な…」
「図星だろ?」

そうしてまた悪戯っぽく笑う。
……この人にはどうしても適わない。

Fin