ティーウィズミルク
「何これ…」
「ミルクティーです」
「セラって、こんな濁った飲み物なんか飲むんだ…」
「美味しいですよ。ヒューゴにはちょっと甘いかもしれませんが…」
「ふぅ~ん…」
少し自信があるように言う彼女の言葉を信じて、ほんの少しだけ口に含む。
口に入れた途端に広がる甘い香りに驚いて、飲み込むことを躊躇してしまう。
それでも、自分な感想をくれるか楽しみにしているセラを思うと、はき出せるわけもなく、勇気を出してゴクリと飲み込んだ。
「どうですか?」
待ちわびたように尋ねてくるセラに、少しだけ気を使いながらも、
「俺には甘すぎたかな…」
と言うと、少しだけ寂しそうな顔をした。
その様子に戸惑いながら、彼女のコップに目をやると、まだたくさんと残ったミルクティー。
「あ…あれ?セラはこれ飲んでないの?」
「え…?あ、はい。」
「ふーん。じゃ、この甘い味分けたげる」
「え…?」
ヒューゴの言葉に顔を上げたセラだったが、彼の顔を見ることはなく、最後に見えたのは彼の手のひらだった。
少し後に、感じる唇への温もりは、甘いミルクティーの味がした……。
以前サイトの拍手に置いていた作品です。